彼女は北陸出身でとても色白だった。
彼女が白い足を洗うと、タイ男たちの熱い視線と女たちの嫉妬を一身に集めた。
チェンライのタイ人ガイド「サネー」は、われわれにはインスタントラーメンを食べさせておいて、タイ人だけ集まって豪華な料理を作って食べていた。これ見よがしにやっているようだった。食い物の恨みは深い。
山刀を威嚇するように振り回して、藪の中をどんどん一人だけ進んで行くので、われわれが取り残されて道がわからなくなることもたびたびあった。文句を言うと「足跡を見て来い」などと言ったが、藪の中で足跡などわかるはずもない。日本人ツーリスト2人だけのツアーだったのでバカにしきっているようだった。
サネーを斡旋した「バナナゲストハウス」の日本人女主人にあとで苦情をいうと、「あの人はそんなことはないはずだ。そんなことをいわれてもわれわれのほうが困る」というばかりだった。私はこのころはまだ、タイ人や在タイ日本人のことをよく知らなかった。